- 投稿日:2025年05月16日 9時12分
![[ 3カ月点検について ] しっかり点検を行いトラックの寿命を延ばしましょう!](https://yoshino-sales.com/wp-content/uploads/e3786b343a51d8ba87ec3b8e845d4867-750x579.jpg)
トラックは、乗用車よりも大きく、重量もあるため、事故を起こすと大事故になってしまうことがあります。安全に走行するために、定期点検はとても大切です。こちらの記事ではトラックの3カ月点検について解説しています。
Contents
トラックの点検とは
トラックなどの商用車は、運行による負荷や走行距離が大きいため、乗用車よりもはるかに高頻度でのメンテナンスが必要とされています。これを法的に担保する制度として、「3ヶ月点検」が存在します。
具体的には、道路運送車両法第48条に基づき、事業用自動車には以下の点検が義務づけられています:
- 日常点検(運行前の自主確認)
- 3ヶ月ごとの定期点検
- 1年ごとの車検(12ヶ月点検)
このうち、「3ヶ月点検」は整備管理者が主導し、点検記録簿を保管する必要がある法定点検です。点検項目は多岐にわたり、ブレーキ装置、かじ取り装置、緩衝装置、動力伝達装置、原動機、電気装置、タイヤなど、事故につながる可能性の高い部位が中心となっています。
安全・法令・経営リスクの観点
日本の物流を支えるトラック輸送。その要となるのが、日々の運行を担う車両の安全管理と法令遵守です。近年、道路交通法や運輸関連の規制は一層厳格になっており、企業やドライバーにはこれまで以上に高いコンプライアンス意識と整備体制の確立が求められています。
その中でも特に注目されているのが、「3ヶ月点検」です。これは、車検(12ヶ月点検)とは別に、年3回(3ヶ月・6ヶ月・9ヶ月)実施することが義務づけられている定期点検であり、事業用トラックを保有する企業にとっては避けて通れない法的要件の一つです。
点検を怠るリスクは「非常に重い」
点検を実施していない場合でも、日常的にトラックが運行できてしまうため、見過ごされがちです。しかし、点検未実施のまま事故が発生すると、重大な行政処分や経営リスクにつながります。
国土交通省の指針では、点検未実施が確認された場合の初回違反における処分内容は以下の通りです:
点検未実施の回数 | 行政処分内容 |
年間1回未実施 | 警告 |
年間2回未実施 | 車両停止5日間 × 未点検台数 |
年間3回未実施 | 車両停止10日間 × 全車両台数 |
【処分例】
仮に10台のトラックを保有していて、3ヶ月・6ヶ月・9ヶ月の点検を全て未実施だった場合、
「10日間 × 10台=100日間」の車両停止処分が科せられます。
日常点検はもちろんですが、3カ月点検も特に重要となりますので、実施していきましょう!
【ヨシノ自動車 整備ブログ】
3ヶ月点検の項目について
こちらでは、3カ月点検の項目について紹介していきます!
【かじ取り装置】
点検項目 | 詳細 |
ロッド及びアーム類 | ・緩み、がた、損傷 |
ナックル | ・連結部のガタ |
パワー・ステアリング装置 | ・ベルトのゆるみ、損傷 ・油漏れ ・油量 |
【制動装置】
点検項目 | 詳細 |
ブレーキペダル | ・ペダルのあそび ・踏み込んだときの床面とのすき間 ・ブレーキの効き具合 |
駐車ブレーキ (サイドブレーキ、フットブレーキ) |
・レバーの引きしろ、踏みしろ ・ブレーキの効き具合 |
ホース、パイプ | ・漏れ ・損傷 ・取付状態 |
リザーバタンク | ・液の量 |
ブレーキチャンバ | ・ロッドのストローク |
ブレーキドラムとブレーキシュー | ・ドラムとライニングのすき間 ・シューの摺動(しゅうどう)部分 ・ライニングの摩耗 |
ブレーキディスク、パッド | ・ディスクとパッドのすき間 ・パッドの摩耗 ・ディスクの摩耗、損傷 |
センタ・ブレーキ・ドラム | ・取付の緩み ・ドラムとライニングのすき間 ・摩耗、損傷 |
【走行装置】
点検項目 | 詳細 |
タイヤ、ホイール | ・空気圧 ・亀裂、損傷 ・溝の深さ、異常な摩耗 ・ホイールナット、ホイールボルトの緩み |
【緩衝装置】
点検項目 | 詳細 |
リーフサスペンション | ・スプリングの損傷 |
エアサスペンション | ・エア漏れ ・ベローズの損傷 ・取付部、連結部の緩み、損傷 |
【動力伝達装置】
点検項目 | 詳細 |
クラッチ | ・ペダルのあそび ・ペダルが切れたときの床面とのすき間 ・クラッチの作用 ・クラッチの液量 |
トランスミッション、トランスファ | ・油漏れ ・油量 |
プロペラシャフト、ドライブシャフト | ・連結部の緩み |
デファレンシャル | ・油漏れ ・油量 |
【電気装置】
点検項目 | 詳細 |
点火装置 | ・点火プラグの状態 ・点火時期 |
バッテリー | ・ターミナル部の緩み、腐食による接続不良 |
電気配線 | ・接続部の緩み、損傷 |
【原動機】
点検項目 | 詳細 |
本体 | ・低速と加速の状態 ・排気ガスの色 |
エアクリーナーエレメント | ・汚れ ・詰まり ・損傷 |
エンジンオイル | ・漏れ ・燃料漏れ |
ファンベルト | ・緩み、損傷 ・冷却装置の水漏れ |
【その他】
点検項目 | 詳細 |
シャシ各部 | ・給油脂状態は正常かどうか |
3ヶ月点検をきちんと実施するメリット
単に法令順守のためだけでなく、3ヶ月点検を定期的に実施することは、経営上のメリットにもつながります。
● 故障予防と修理コストの削減
早期発見・予防整備により、重大なトラブルを未然に防げます。
● 車両の長寿命化と資産価値維持
適切な点検によりエンジンや駆動系などの寿命が延び、中古車としての価値も保てます。
● 安全性の向上
ドライバーと荷主の安心感につながり、企業イメージの向上にも貢献。
● 監査・取引先調査への対応力
整備記録簿が整っていれば、行政監査や荷主監査にも自信を持って対応できます。
まとめ
車両の整備状況は企業の信頼性を測るバロメーターとなっています。
「忙しくて後回しにしていた」「今のところ問題が起きていない」——そんな状況が、思わぬ事故や処分につながる可能性があることを忘れてはいけません。
点検項目はたくさんありますが、定期的に点検することで、トラックの寿命を延ばすこともできると思います!是非、ちゃんと点検し、監査がいつきてもいいよう万全の状態にしておきましょう!!